こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
前回の記事(⇒登記事項証明書(登記簿謄本)とは?取り方と全部事項証明書との違い)に続いて、ここでは取得した不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)の読み方について紹介します。
普段見ることのない登記事項証明書(登記簿謄本)なだけに、一見内容がわかりにいかもしれませんが、ポイントをおさえれば必要な情報は簡単に読み取れます。
目次【本記事の内容】
1.登記事項証明書は4つのパートで出来ている。
ではでは、さっそく登記事項証明書を見てみましょう。
法務局のHPで公開されている見本です。
上から順番に見ていくと、それぞれ①表題部、②権利部(甲区)、③権利部(乙区)、④共同担保目録といった枠が記載されているのが分かります。
この4つの枠の中だけを見ればOKです。(※マンションの謄本は少し違ってくるんですけど、そちらは別の記事で紹介します。)
1-1.表題部について
見本の謄本は建物のモノです。
「所在」は建物がたっている所在地、「家屋番号」は建物を特定する番号です。
因みにここでいう「所在」はいわゆる郵便番号が付いてくる住所の表記とは全く別の意味です。
この表題部をさらによく見ると、建物であればその「種類」「構造」さらに「床面積」なども表示されているのが分かりますよね。
これらの情報は土地家屋調査士さんが土地や建物の現物を実際に調査したうえで法務局に申請されて作成されます。
意味合い的には、対象の不動産を特定したり物理的な大きさや構造などを記載するような場所と覚えればいいかもしれません。
そして例えば、遺言書に記載したり売買契約書で対象の不動産を特定するとき、私たちが登記を申請をするときには、この表題部を一字一句間違えずに記載していく必要があります。
1-2.権利部の甲区と乙区について。
甲区は所有権に関する事項が登記され、乙区には所有権以外の登記がされます。
深堀し出すとキリがないので、ここではザックリとだけ説明すると甲区は『持ち主が誰なのか?』、乙区は『誰が担保権※をもっているか?』を記録しています。
(※1ちなみに、担保権とはその土地を持って貸しているお金を担保しているという意味で、法律的には抵当権や根抵当権なんかの債権を保全するために、土地の持ち主とお金の貸主で契約した権利を、登記上に設定しているという意味です。)
(※2担保権だけではなくて、土地の上を支配できる地上権や農作業をするために設定した永小作権などもこちらで登記されます。)
で、持ち主は上記の通り見たまんま、甲区に平成20年から何にも登記が入っていないので現在は法務五郎さんが所有者ってことが分かります。
そして、ご覧のとおり土地の所有者の名前と住所がそのまんま乗っています。
登記事項証明書は誰でも取得できるので、有体に言えば個人情報が丸出しの状態で丸わかりの状態であるので、普通にコワかったりしますよね。
【※常識で考えて分かっていただけると思いますが、登記事項証明書がもとより誰でも取得できるのもで、公示されている情報だからと言って、嫌がらせで個人の住所をネットで晒すとか絶対にやらないでくださいね!?】
また、乙区には抵当権が残ってますね。
この謄本からは法務五郎さんが南北銀行からこの不動産を担保に平成20年11月4日から4000万円を借りたってことがわかります。
ただ一応、法務五郎さんの為に言っておくと、、これは別段、今現在の法務五郎さんの残債が4000万円丸々残っているというワケではありません。
平成20年から毎月支払っていれば当然現在の残債は4000万円よりも減っているハズです。
この債務4000万円の抵当権は、基本的には法務五郎さんがお金を利息ともども全額返し終わったあとに抹消される事になります。
もし払ってなかったら謄本上の抵当権設定に基づいて、この建物は銀行に差し押さえられてしまうか、その前に任意売却でもされるなりして、持ち主が変わってしまうかしているハズなので、この点でも、こういった背景なんかも謄本から読み取れたりできるワケです。
1-3.共同担保目録の情報
最後に一番下の枠を見てください。
共同担保目録といって乙区の抵当権と連動して考えるものです。
この不動産以外にも共同して担保している不動産がここに書かれます。法務局の見本の例で見ると101番の土地にもあわせて抵当権がくっついているので…、
この建物は同じ所在の土地の上物として建てられていて、典型的な住宅ローンの実行に伴って建てられた物件であろうというコトが分かります。
ちなみに売買の時だけでなく、相続財産の調査などの僕らの実務上でもココの情報が役立ちます。
建物の登記簿を取っただけで別の不動産である土地の地番まで判明するからです。