こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
さて、ここでは、以前にも相続手続きの最初の段階として紹介しました、戸籍(⇒戸籍謄本を集めて相続人(法定相続人)を調べる方法。)の取り扱いについて、再度、お話をしたいと思います。
改めて説明いたしますと、相続手続きを進めていくには必ず戸籍の収集が必要になってきます。
法定相続人が誰であるのか確認する意味合いだけでなく、法務局や金融機関に提出する必要があるからです。
しかし、一般的に戸籍を一生のうちに、何度も目にする機会のある方は、ほとんどいらっしゃらないかとおもわれますので、実際に自分でやり始めてみた多くの相続人の方は苦労するのではないでしょうか?
例えば、被相続人が父親で、相続人が母親と子供一人だけある場合などは簡単ですが、実際には被相続人の年齢や家族構成、転籍の回数によっては戸籍の量もそれだけ増加し、取得が大変面倒になっていきます。
今回はこの戸籍の取得について、実務的に、一体何が難しく面倒なっていくのかまでを説明していきたいと思います。
目次【本記事の内容】
- 1.原戸籍や除籍謄本は読む事こと自体が難しい
- 2.婚姻・離婚・転籍など、移動した戸籍どうしの接点を探す
- 3.遠隔地への請求時は、とくに費用と時間がかかる
- 4.戦争や震災が原因で、結局、消失している場合もある
1.原戸籍や除籍謄本は読む事こと自体が難しい
金融機関や法務局、いずれの相続手続きにおいても、被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要になります。
普通に考えて、たまたま相続人が被相続人の出生から死亡までの本籍地戸籍を持っていたなんてことは考えられないので、現在戸籍(除籍謄本)から、転籍歴や改製の情報を頼りに辿り、順次、古い戸籍を取得していきます。
しあし、この戸籍収集でなにが難しいか?
それは、何といっても戸籍の読み辛さにあります。
なぜなら、戸籍記載は古くなればなるほど読みにくくなっていきます。
昭和初期以前の戸籍になると旧字になり数字の記載に関しても現在のようなアラビア数字の表記でもありません。
漢数字でも一、二、三ならまだしも、壱、弐、参といった感じ記載になり何が書いてあるのか、一見しただけでは分かりません。
また、現在の戸籍はパソコンで作られており、字が読めない判別できないようなことはありませんが、古い戸籍になると毛筆による手書きで記載されているので、戸籍によっては判別が非常に困難なもの数多くあります。
このような旧字や手書きの戸籍を解読しながら、被相続人の本籍地を辿り戸籍を収集することは時間も手間もかかってしまいます。
2.婚姻・離婚・転籍など、移動した戸籍どうしの接点を探す
戸籍は家族単位で構成されており、婚姻すると現在籍を置いている親の戸籍(又は自己の戸籍)から婚姻時に筆頭者となる者の戸籍に移ることになります。
これを入籍と言い、この点は、今も昔も変わりません。ちなみに、結婚した時に入籍と言われるのはこのことを指しております。
どちらの姓をとったとしても基本的に婚姻した当事者は新しい戸籍に入籍します(※既に自己を筆頭者とする戸籍に籍を置いている人で、なおかつ、自己の姓を称する婚姻をした場合の方は戸籍の移動はありません。)
すなわち、過去に婚姻をした場合がある方は、基本的にはその時点で籍が移動しますので、取得しなければならない戸籍も増えていきます。
これは離をされた場合も同様で、離婚すると姓を変えていたものは、従前の親の戸籍に戻るか、または自己を筆頭者とする戸籍を新たに作成し、そこに入籍しますので、この点でも取得しなければならなくない戸籍は増えます。
他にも、転籍を行うと(本籍地の変更)戸籍は新たな本籍地で管理されることになりますので、その際に戸籍の移動が生じ、新たな本籍地に新たな戸籍が作られ、もともと戸籍があった旧本籍地の戸籍は除籍簿に入ることになります。
これらの除籍簿や戸籍まで、すべて被相続人が記載されている戸籍類全部が必要になるために取得が大変なってきます。
3.遠隔地への請求時は、とくに費用と時間がかかる
戸籍は籍の置かれている役所で取得します。そのため、転籍や婚姻などによって本籍地が変更になり本籍地が変わっていると、その本籍地の役所に戸籍の請求をしなければなりません。
この点、取得にしに行くのが難しい地域である場合は、郵送によって請求することになります。
郵送で取得ということになると窓口に行って質問しながら取得するのと違います。
その場で適切な回答を得ることが出来ず、また郵送の場合は支払いは定額小為替を同封して行いますので、その役所で取得できる戸籍の通数が把握できない結果、同じ役所に何度も郵送の往復をする必要が発生し、さらなる時間。労力や費用まで発生してしまいます。
上記のように、戸籍は読むことも難しくことに加え、また転籍の機会によって取得数が多く、本籍地が遠隔地である場合も重なれば、大変面倒で時間のかかるものになるケースが非常に多いです。
もちろん、金融機関や法務局からすれば、戸籍が1通足りないだけでも相続手続きを行うことはできませんので、戸籍収集は重要であると同時に、難しく面倒なものになってきます。
4.戦争や震災が原因で、結局、消失している場合もある
これはもう、例外というか、ほとんど不可抗力と言っていい状態の場合です。
実務上、戸籍謄本を追いかけていると、役所の人から「この部分の戸籍は戦争で焼失しています。」とか「震災によって見つかりませんでした。」と言われる場合があります。
流石に、こういった場合は仕方ないと考えられるので、取得することが出来ないまま、金融機関や法務局で相続手続きを進めてもらうことが出来るのでしょうか?
残念ながら、この場合でも相続手続きをすることが出来ません。
こういった場合には、それぞれの相続手続きの申込先機関と、相談しながら処理を進める必要が出てきます。
通常は、役所から“焼失証明書“や“破棄証明書”などといった証明書を発行してくれるので、それらを用意して、各機関と相談をするしかないと思われます。
なお、相手が法務局場合であれば、“上申書”や“登記済証の写し”を別途添付するなどによって相続登記を受理してもらう方法があります。
しかし、これは一般の方では、非常に難しいので、この状況下であれば、早めにお近くの司法書士へご相談された方がいいと思います。
まとめ
戸籍謄本を揃えて相続人を確定させるのは、相続手続きの初手で一番大事な業務になってきます。
これまでにも説明させてきて頂いたように、戸籍が揃わなければ相続人の範囲が不明確で遺産分割をすることも不可能です。
間違いのない相続手続きを進めるためにも、この戸籍謄本の収集開始から、専門家を関与させるのが一番でしょう。
士業の専門家であれば職権でも戸籍謄本を取得できますので、もしこれから相続手続きを進めようとお考えでしたら、是非一度当事務所までご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン
相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。