こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
さて、ここでは未成年者がいる場合の遺産分割について、家庭裁判所へ特別代理人の申立てをする際に合わせて添付する書類である、遺産分割協議書(案)に焦点をあてて解説を進めていくページになります。
(前回の記事の概要は⇒遺産分割協議時に未成年者がいる場合どうしたらいいのか? を参照。)
これから、未成年者がいる場合の相続手続きを検討させている方は参考にしてください。
目次【本記事の内容】
1.未成年者がいる場合の遺産分割協議書(案)
こちらは過去に、未成年者がいる場合の遺産分割協議書(案)として当事務所が実際に作成したものです。
(※当然、ご依頼人の氏名や人数構成、住所などは架空のものとして変更してます。)
遺 産 分 割 協 議 書(案)
被 相 続 人 山田A太郎(平成27年1月23日死亡)
最 後 の 住 所 大阪府枚方市○○町○○番地
最 後 の 本 籍 大阪府枚方市○○町○○番地
登記簿上の住所 大阪府枚方市○○町○○番地
一、被相続人山田A太郎の死亡により相続が開始し、相続人及び特別代理人全員により協議を行い、後記のとおり遺産分割協議が成立した
なお、遺産分割の趣旨は、未成年者の子供の養育費や生活費にあてるため後記の土地及び建物を売却することを目的として、便宜的に山田Q太郎へ登記名義を移すものとする。
1. 山田Q太郎 が取得する遺産
土 地
所 在 大阪府枚方市○○町
地 番 ○○番○○
地 目 宅地
地 積 △△.△△㎡
建 物
所 在 大阪府枚方市○○町○○番地○○
家 屋 番 号 ○○番○○
種 類 居宅
構 造 木造スレート葺2階建
床 面 積 1階 △△.△△㎡
2階 △△.△△㎡
以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、これを証するため本書を作成し、署名捺印する。
平成 年 月 日
【相続人山田Q太郎の署名捺印】
住 所
氏 名 実印
【相続人山田O次郎の特別代理人山田U子署名捺印】
住 所
氏 名 実印
当事務所はこのような形の遺産分割協議書(案)を提出することで、特別代理人の選任審判を受理させることができました。
※実際問題として、未成年者の年齢や環境・相続財産の金額・その他個別の事情などで家庭裁判所は判断しますので、これと同じものを作成して提出したからといって受理されるわけではありませんのでご注意ください。
1-1.添付書面として、財産の評価額を証明する固定資産評価証明書などが必要です。
最後に細かい部分ですが、遺産分割協議書(案)には、相続財産の名目そのものを記載する必要がありますが、その相続財産についての詳細な金額の記載をする必要はありません。
例でいうと預貯金などは、銀行名と支店名と口座番号程度の記載で足り、具体的な金額までを記載しなくても問題ありません。(※金額まで書いてしまうと、利息の付与などが発生し、後で変わってきてしまい却ってややこしくなります。)
これも不動産についても同様で、固定資産税評価額までの記載は要求されておりません。(※年度を跨ぐと変わってしまうので。)
しかし、この点、家庭裁判所の方としては、相続財産の評価額が分からないと、冒頭の通り、遺産分割協議書の趣旨が、未成年者の子の利益を奪うものではないもので、かつ、趣旨が合理的なものであるかの判断もできません。
そのために、遺産分割協議書(案)に記載した相続財産については、家庭裁判所への添付書類として、その評価額が分かる証明書を要求されることになります。
《相続財産の評価額を証明する証明書の具体例》
- 不動産の評価額を証明するもの→登記簿謄本と固定資産評価証明書
- 預貯金の価格を証明するもの→残高証明書(死亡日のもの)や通帳のコピー
まとめ
前後2回に分けて説明させていただいたように、未成年者がいる場合の遺産分割協議はとても複雑で専門家の知識が必要となります。
そして、不動産の相続登記に関して言えば、家庭裁判所からの特別代理人選任審判書の添付がなければ、遺産分割協議書を用いた相続登記は絶対に受理されません。
しかし、相続手続きを専門とする当事務所なら、このような家庭裁判所の手続きも含んだ、登記手続きまでを一括してお任せいただくことができます。
未成年者がいる場合の相続手続きでお困りであればまずは当事務所までご相談ください!
また、相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。