こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
さて、当事務にも弁護士事務所さんほどではありませんが、相続手続きをしようにも、どうもご親族間で、話がもつれた状態になられてご相談に来られる方々もいらっしゃります。
しかしそんな時、よくよくご状況を詳しく聞いてみると、実は法律上の法定相続人同士の間では、なんの争いもなく、単に相続人の配偶者(夫・妻)が話し合いに介入してきているだけだったりすることが非常に多いです。
まず大前提として、遺産相続の当事者はあくまでも法律上の法定相続人自身の問題であって、その相続人の家族には、全く関係ありません。
しかし、実際のところ、自分のパートナーの存在を頼りにして、遺産分割の話し合いの場に連れていくことはよくある話です。
相談でも多いのですが、このように、相続人ではない人が、パートナーの遺産相続に口を挟んでもいいものなのでしょうか?
もちろん法律的に、ダメというワケではないのですが、それだけに、一見、正解のない話にみえてきます。
今回は、この点の話について、専門家の立場から切り込んでみたいと思います。
- 1.結論、配偶者の相続に口を挟んではいけない。
- 2.話し合いで混乱を招く
- 3.重要なのは相続人だけで話す環境
- 4.争いの火種になりやすい配偶者の口出し
- 5.専門家への相談なら、配偶者の同席も問題無しです。
1.結論、配偶者の相続に口を挟んではいけない。
最初から結論を申し上げてしまいます。
配偶者の相続に口を出してはいけません。
余計に揉めます。
そもそも遺産分割は、その法律上の家族内、つまり、法定相続人間に限った範囲の話に過ぎないのであって、配偶者には全く関係のない話です。
例えば、ある親が死亡した結果、その兄弟姉妹が相続人であれば、その人達当事者だけが集まって話をすればいいのであって、その各々の配偶者までが口を挟んでくるとロクなことがありません。
2.話し合いで混乱を招く
まず、感情論から言っても、亡くなった自分達の父親や母親からの遺産相続の話し合いの場に、そもそも無関係な人間を連れてこられて、いい気持ちをする人は誰もいません。
話し合いの場が混乱するだけです。
そして、尚の事やっかいなのは、出しゃばって同席する配偶者ほど、前もって調べてきた知識を皆の前でひけらかそうとする傾向にあります。
たしかに遺産分割は法律を前提とした話し合いなので、法律知識の則り話をするのは良いのですが、根本的には別の家族の問題に、イキナリ他人が法律の話で切り込んでくるのは得策ではありません。
第一に、弁護士などの専門家でもない人に法律論を語られても誰も聞く耳を持たないでしょう。
3.重要なのは相続人だけで話す環境
結局のところ、遺産分割で揉めないようにするためには、“相続人の”で話し合い可能な環境作りが重要です。
例えば、気の弱い人が自分のパートナーを連れていきたくなる気持ちはわからなくもないのですが、そういう場合であれば、尚の事、話し合いの場に配偶者を連れていってはいけません。
あくまでも当事者である相続人だけで話し合いをするのがポイントです。
その為にも、集まる前の段階で『家族の話だから兄弟だけで集まろう。』ということを決めたほうがいいかと思います。
もちろん、「兄弟だけで集まろうと言いにくい」とか、「集まって話をしたら姉が面倒な旦那を連れて来そう。」というような状況も考えられます。
例外的ですが、もしも、こういった状況なのであれば、あえて集まって話し合いをする必要までははないと思います。
なぜなら、実際に遺産分割協議といっても…、
本当に法定相続人全員が、同じ場所同じ時間に一同に会する必要までは、法律上要求されていないからです。
例えば電話やメールである程度の話をまとめてしまっても、後日、遺産分割協議書上の書面で形式が成立するなら、それはそれでいいです。
今なら、グループLINEを作成してしまい、そのチャット内で、遺産の分け方の話を決めてしまう、なんてのも今時でいいと思います。
もしも、無作法に関係のない親族が入ってきても、グループ LINE なら退室させることも簡単だからです。
これならば、相続事案に関係の無い、他人から口出しをされる心配もありませんし、無用なトラブルも回避することができます。
4.争いの火種になりやすい配偶者の口出し
今までカナリの数の相続事案を見てきましたが、何故、相続手続きが進まなかったのか?をよく聞いてみると、配偶者の口出しが混乱を招いていたことが分かる事例は本当に多いです。
特に、妻のためを思って間に入ってきた強気な夫ほど、厄介です。
また、逆に、夫の相続に妻が積極的に介入してくる事例も普通にあります。
いずれも『パートナーが他の兄弟姉妹に対いて強気に出ないから…。』という理由が多いです。
いずれにしても、本人には悪気がないのかもしれませんが、無関係な配偶者の相続には絶対に口を挟んではいけません。
今回の記事をご覧の方で、もし自分の配偶者に思い当たる節があるのであれば…、話し合いの場に連れていくことはしないで、必ず兄弟姉妹だけで話をするようにしましょう。
5.専門家への相談なら、配偶者の同席も問題無しです。
誤解を招いてはダメなので、念のために明確にしておきますが、ここまでの話は、あくまでも、“相続人間での話し合いに配偶者が口を挟むべきではない”という話であり、専門家に相談へ行く場合の話ではありません。
専門家に相談を行く場合には、是非ともご主人や奥様と一緒に行かれた方がいいと思います。
その方が心強いと思いますし、御夫婦が家の状態を共有できるメリットもあります。
実際に、当事務所では、相続について御夫婦でご相談に来られる方はとても多いです。『私だけでは分からないかもしれませんので、主人を連れて行ってもいいですか?』といった趣旨のご質問をいただくことがありますが、全く問題ありません。
むしろ当事務所では御夫婦で来られる相談は大歓迎です。
まとめ
今回は相続が始まって、相続に少しでも紛争が発生しないように、可能な限り、法定相続人同士のみで、お話会いを進める重要性について説明しました。
また、相続人同士で話あいをしたいと思っても、どこに相談していいのかわからないといった場合であれば、まずは当事務所までご相談ください。
もしも、相続開始の初期にご相談を頂ければ、相続財産の処分に先立ちまして、手続きの全体像をお伝えすることが可能です。
他にも、相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン 相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。