こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

さて、相続手続きは不動産名義変更だけなく、銀行やゆうちょ、信用金庫などで、被相続人名義の口座を解約し、相続人の口座に振り込みをすることも重要な局面です。

ここでは金融機関の相続手続きについての基本的な手続きの進め方や、必要書類について説明していきたいと思います。

この金融機関の相続手続きには様々な書類が必要になります。

なぜならば、金融機関側としても、万が一、金融機関は相続人ではない者に相続財産を手渡してしまうような事故や、本来とは相続分と違う金額の振り出し手続きを防ぐように、厳重な確認が要求されてくるからです。

しかし、相続手続きに必要となる書類については、基本的なほとんどが同じです。

まずは、金融機関での相続手続きについて、基本的な部分から説明を進めて参ります。

1.銀行での相続手続き①(基本編)

不動産登記と同じように、銀行の相続手続きも、いつまでにやらなければいけないといった期間的制限はありません。

しかし、可能な限り、早めにやるべきであることは間違いありません。

金融機関から手続きの催促があるわけではなく、時間がたてばたつほど通帳の紛失等が重なり、うやむやになっていくからです。

口座凍結の連絡をする際に、各銀行が指定する手続き方法の概要など教えてもらえるので、早急に申請を行うようにしましょう。

上記の通り、実際には、銀行によって多少異なる部分もあるのですが、基本的な必要書類はどの銀行も同じだと思ってもらって大丈夫です。

※以下、基本的な銀行での相続手続きの必要書類

  • 各銀行所定の相続手続き申し込み書
  • 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本等(除籍・改正原戸も含む。)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書(※発行期限アリ:3ヶ月または6ヶ月以内のもの。)

※戸籍謄本の代わりに法定相続情報(法定相続情報一覧図)を提出するでもOKです。複数の金融機関手続きがある際は、是非、取得されることをお勧めします。参照⇒法定相続情報一覧図の入手方法について。

当事務所ではお客様から依頼を受け、今まで相当の数の銀行等で手続きを行ってきましたが、基本的な必要書類はどの金融機関でも同じでした。(※提出の順番やタイミングはそれぞれ多少違います。)

なので、紛争が起こっているなどの、特に例外的なケースでもない限り、まずはこれらの書類を取り揃えることが出来れば問題はありません。

なお、代襲相続や数次相続が発生している場合のご家庭の相続手続きであれば、被相続人以外の方も、出生から死亡の全戸籍類を集めなければなりませんので注意をしてください。

2.戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍等)について。

戸籍類の情報が必要になってくるのは、不動産登記申請でも同じなのですが、預貯金手続きでも同じ話で、まず相続は被相続人の死亡により相続が発生していることを金融機関でも確認する必要があります。

そのために、先ずは被相続人の死亡の記載のある現在の戸籍が必要になります。

加えて、被相続人の相続人として誰がいるかを確認する資料として、出生から(14歳以上からで足りる金融機関も)死亡までの戸籍が必要になってきます。

ここまで金融機関が書類の提出を求める背景には、やはり、中途半端な情報で相続財産を引き渡してしまい、後で紛争の原因になることを防ぐ必要があるからです。

単に、相続人が故意に他の相続人の存在を隠して相続手続きをしないよう防止しておく必要もありますが、それ以外にも家族である相続人でさえ、認識していなかったような法定上の相続人の存在に気が付かずに、お金を配分してしまうのを防ぐ必要があるからです。

不動産登記の申請する準備と同じく、被相続人の出生から死亡までの戸籍を辿りつつ、法律上相続人にである者は確認し、同時に、生存している相続人当事者たちの現在の戸籍も各自必要になってきます。

戸籍の全部取得は、日中、自由な時間がある人や、郵送請求方法に慣れた方でないと難しい側面がありますので、ご自身で対応されたい方は、請求先の市町村役場に確認を取りながら、気長に取り組む必要があるかもしれません。

3.印鑑証明書と実印押印も必ずいる

銀行等金融機関の相続手続きについては、どの金融機関も、被相続人の相続手続き関係の書類に対して、 ほぼ間違いなく実印での捺印を要求してきます。

また同時に、押された実印の証明書として、印鑑証明書の提出も必要になります。

これは相続人の相続する意思があることの証明を要求しているだけでなく、法定相続分、または遺産分割協議内容と合致しているか等、決定されている相続分通りに手続きを実行するかの確認と証明まで兼ねています。

また、この銀行提出の印鑑証明書には有効期限が要求されています。

その期間の幅は、金融機関によって違いはありますが、概ね発行から3ヶ月または6ヶ月以内のものが要求されています。

もしも、海外などに在住している方が相続人で印鑑証明書が無い方であれば、各国の大使館や領事館で発行されるサイン証明が印鑑証明書の代わりとなります。

また、もしも相続人の代表者の方が、他のご家族の方の印鑑証明書を預かって手続きを進める場合については厳重にご注意下さい。万が一、紛失などしてしまい、第三者の手に渡ってしまえば、意思表示書類として何に悪用されるか分からないからです。

以上、ここまでは、どんな相続のケースであっても共通している金融機関の相続書類についてまとめてきました。

4.銀行での相続手続き②(応用編)

ここから先は、各ご家庭で、どのように相続財産を受け入れることになるかに応じて、どのような必要書類が要求されてくるか?

事例に応じて説明を加えていきます。

1-4.遺産分割協議書を作成した場合について。

遺産分割協議を行ったことより、法定相続分と異なる相続割合になる場合には、それを証するため遺産分割協議書を提出することになります。

加えて相続人の遺産分割協議書の偽造を防止するため、さらに遺産分割に相続人全員が納得している証明として、遺産分割協議書に実印での捺印及び印鑑証明書の添付が必要になります。

ここでの印鑑証明書は、上記にまとめた基本的に準備する上での印鑑証明書と兼ねることが可能なので、二重に用意する必要まではありません。

ただし、例えばゆうちょ銀行などがそうであるように、遺産分割協議書の添付が無くても銀行が相続手続きを受け付けてくれる場合もあります。

こういった場合であれば、相続人代表者の責任のもと遺産を分配する形式で申請することになるので、金融機関側としても、遺産分割協議書を添付しなくとも相続手続きは受け付けてくれます。

4-2.遺言書がある場合

遺言書がある場合ですと遺言書の提出が必要になります。

しかし、遺言書の内容・種類によって銀行への必要書類が変わってきますので、以下をご参照ください。

なお、遺言書がある場合には、法定相続人の範囲を確定する必要がなくなるため、出生から死亡の戸籍謄本を集める必要はなく、被相続人の死亡記載の戸籍謄本と相続人の戸籍謄本で足ります。

遺産執行者が選任されている場合は?

なお、全ての遺言書に共通する話ですが、遺言書の記載内容に遺言執行者が選任されている場合もあります。

そのケースであれば、相続人全員の実印と印鑑証明書までは要求されず、遺言執行者の実印と印鑑証明書のみで足ります。

公正証書遺言の場合

遺言書が公正証書遺言である場合には、正本または謄本を銀行に持参します。

原本を確認してもらい、コピーを取っ返却してもらいます。

できる限り正本を持参した方が確実ですが、公正証書遺言の「謄本」を持参すれば銀行は手続きをしてくれます。

ただ念の為を言うと、支店や担当者によっては正本でしか受け付けしてくれない可能性もあります。(本来、正本ではなく謄本であっても手続き上は問題ありませんが、担当者がそれを知らない場合があるからです。)

自筆証書遺言(検認済み)の場合

自筆証書遺言の場合は不動産名義変更の時と同じく、家庭裁判所で検認の手続きを経たものでなければいけません。

まだ検認をしていないのなら、銀行含め各種の手続きを進める前に、家庭裁判所の検認手続きを進めるしかありません。

遺言書情報証明書の場合

法務局で保管した自筆証書遺言の場合は、保管法務局に申請すると「遺言書情報証明書」というものを発行してくれます。この証明書を持参すれば、銀行で手続きを進めてもらえます。

この法務局で保管した自筆証書遺言の場合であれば、普通の自筆証書遺言と違い、家庭裁判所の検認も必要ありません。

4-3.相続放棄をした人がいる場合

相続人の中に相続放棄をした方がいる場合には、それを証するために“相続放棄受理証明書”というものを用意しなければいけません。

銀行等の対外的な立場の側からみると、相続人の中で誰が相続放棄をしているかどうかは確認することができないからです。

相続放棄受理証明書は、相続放棄の申述をした本人が取得することができますし、他の相続人が利害関係人の地位で家庭裁判所に申請して取得する方法もあります。

なお、相続放棄をした人は、はじめから相続人でなかったものとみなされるため、 相続放棄受理証明書を添付した人の捺印は不要となります。

4-4.未成年者がいる場合

相続人の中に未成年者がいる場合であって、かつ、遺産分割協議を行う場合、家庭裁判所より特別代理人が選任されたことを証する“特別代理人選任審判””というものが必要になります。

家族間の利益相反を防ぐために、この審判書を提出することで、未成年者の代理人として遺産分割協議が適法に成立していることを証することができます。

そして、このように、特別代理人が未成年者に代わって協議を行う形になるので、提出する実印と印鑑証明書は 特別代理人のものが必要です。(※未成年者のものは使用できません。)

なお、代襲相続等で未成年者と親権者が遺産分割協議において利益相反関係にない場合には、親権者が未成年者の代理人として遺産分割協議に参加することができます。

この場合は、未成年者の法定代理人であることを証するために、 別途、戸籍謄本を提出します 。

5.銀行へ残高証明書を発効の為の必要書類

相続税等で必要な残高証明書(死亡日現在)を申請する際もあるかと思います。

また、正確な遺産分割協議を実施するために、事前に残高証明書を確認されたい場合もあるかと思います。

この場合の必要書類も紹介させていただきます。

※銀行の残高証明書の必要書類

  • 各銀行所定の申込用紙
  • 被相続人の死亡記載の戸籍謄本
  • 被相続人と申請人の相続関係を証する戸籍謄本
  • 申請人の戸籍謄本
  • 申請人の印鑑証明書(3ヶ月または6ヶ月以内)

被相続人の死亡日現在の残高証明書を発行できるのは、各相続人なので、“被相続人の死亡事実”と“申請人が相続人であること”を証明することがポイントです。

他の相続人から委任状をもらう必要まではありません。

相続税申告の期限が近いなど、至急の発行が要されるなら、取り急ぎ、これらの書類だけを集めて残高証明書のみ申請するでもいいかと思います。

 まとめ

ここまで解説をしてきたように、銀行に提出する必要書類はかなりの種類があります。

ご自身で取り組まれる場合、まずはどの金融機関でも必ず必要になる基本書類を集めて、それ以外の書類については銀行等と確認を進めながら集めていく形で良いかと思います。

もし、ご自身で手続きを行うのが難しいと感じたら、無理に手をつけず、司法書士等の専門家にはじめから依頼するのを検討してみてはいかがでしょう?

自分で余計なことを考える必要はありませんし、ご自身の生活に集中できるからです。

もしも、相続開始の初期にご相談を頂ければ、相続財産の手続きに先立ちまして、対応方法の全体像をお伝えすることが可能です。

他にも、金融機関の相続手続きだけでなく、相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン 相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

枚方市・交野市・寝屋川市の皆さんへ、相続・遺言・遺産分割のまとめ情報

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