こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
さて、遺言は人の最終意思を尊重するための制度です。
そして、効力が生じるのは遺言者が死亡した時であるため、効力が発生した後に本人の真意を確認することはできません。
そのため、遺言書作成については、方式が厳格であるだけでなく、遺言によってできる行為内容についてまで、法律で厳密に定められています。
法定遺言事項の具体的な内容については、大まかに分類して、相続に関する事項、その他の財産処分に関する事項、身分上の事項、遺言の執行に関する事項に分けられ構成されています。
今回は法定遺言事項について解説していきたいと思います。
法定遺言事項は14種類
法定遺言事項は全部で14種類あります。
以下、それぞれに分類して、説明をしていきたいと思います。
相続に関する事項
①共同相続人の相続分の指定、または第三者への指定の委託
基本的な法定相続分とは違った“相続分を指定”することができます。
また自分で相続分を指定しないで第三者に指定を委託することも可能です。
②遺産の分割方法の指定、または第三者への指定の委託、および遺産の分割禁止
①の相続分の指定と似ていますが、遺産を相続人の“誰に”取得させるのかを具体的に定めることができます。
自分で指定しないで遺産の分け方を第三者に委託することも可能です。
また5年を超えない期間を上限として遺産を分割することを禁止することもできます。
③遺産分割における共同相続人間の担保責任の定め
遺言によって担保責任の範囲を指定することができます。
④推定相続人の廃除、または廃除の取り消し
廃除とは、遺留分を持つ推定相続人が被相続人(遺言者)に対して虐待、重大を加えた、その他著しい非行があった場合に、家庭裁判所に請求し推定相続人から相続権を奪う制度です。
生前行為によってもすることもできますが、遺言によってもすることができます。
⑤特別受益の持ち戻しの免除
基本的に、遺贈や生前贈与を行った場合は、これらの法律行為を加味して法定相続分が修正されます。
しかし、遺言によって、遺贈や生前贈与したものを、相続財産に参入しないという意思表示をすることができます。
⑥遺留分侵害額請求の負担方法の定め
遺留分とは一定の相続人のために法律上最低限留保されなければならない遺産の一定割合のことです。
遺留分侵害額請求の順序や割合について指定することができます。
その他の財産処分に関する事項
⑦遺贈
遺言によって遺産の全部又は一部を、無償又は負担を付して譲与することをいいます。
遺贈には包括遺贈と特定遺贈があります。
⑧生命保険の保険金受取人の変更
保険金受取人の指定又は変更を、遺言によってもすることができます。
⑨財団法人を設立する意思の表示
財団法人を設立するためには寄付行為が必要となるのですが、この寄付行為を遺言によって行うことができます。
(※遺言で寄付行為をする場合は、遺贈に関する規定が準用されることになります。)
⑩信託の設定
信託とは受託者に対して財産権の移転等をして、受託者は受益者のために信託財産の管理又は処分をする制度のことです。
(※信託が遺言によってなされることは稀で、主に生前にされることが多い法律行為です。しかし、遺言によってすることも可能です。)
相続に関する事項
⑪認知
非嫡出子(婚姻関係にない夫婦の間に生まれた子)について、父親が「この子は自分の子である」と認めることを認知と言います。
認知により父親と非嫡出子の法律上の親子関係が生じます。
認知は生前行為ですることもできますが、遺言でもすることが可能です。
⑫未成年後見人、未成年後見監督人の指定
未成年に対して親権を行うものがいなくなってしまった場合は、その未成年者について、未成年後見人が選任されますが、その指定をすることができます。
未成年後見人の指定は遺言でのみなしうる行為です。
遺言の執行に関する事項
⑬遺言執行者の指定、又は第三者への指定の委託
遺言の内容を実現するためには、遺言者の死後に、一定の対応が必要とされる場合があります。(不動産登記の申請、銀行の口座凍結解除等)
これ等を行う職務権限を持つ者のことを指して、遺言執行者と呼びます。
遺言執行者は遺言で指定又は第三者への指定の委託がされていない場合、利害関係人の申立てによって家庭裁判所で選任されます。
例えば、相続をさせる家族が遠方に住んでいるケースや、あるいは配偶者に相続をさたい場合で、相手も高齢である状況など、手続きが出来るか心配になるときは、弁護士や司法書士を遺言者執行者に立てておく事で、遺言内容が放置されないようにするメリットが生まれます。
⑭祭祀を主宰すべき者の指定
相続する“財産”とは別に、系譜、祭具、墳墓の所有権については、それらの祭祀を主宰すべき者が継承することになります。
その継承者について、別途、遺言によっても指定することができます。
付言事項について
上記の通り、法定遺言事項以外の遺言については法律上の効果は生じません。
仮に書いたとしても、個人的なメッセージとしての道徳的な効力しかありません。
しかし、自分の葬儀の希望や感謝の言葉などを、“遺言者の想い”として、付言事項に残して家族に伝えることによって、より円満な相続手続きができるケースも多く見受けられます。
自分がどうしてこのような遺言を書いたのか?
なぜ遺産の分け方をこの内容にしたのか?
残された家族や親族が納得できるような付言事項を書き残すことで、紛争を未然に防ぐこともできますので、個々人様のご状況に応じて、付言事項までご記入されることをお勧めいたします。
まとめ
公正証書遺言の作成なら当事務所までご相談ください。
相続・遺言を解決する当事務所では、相続手続きや遺言書作成についてお困りのご相談者様のお話をじっくり聞いて、専門家との連携により全ての手続きを一括サポートさせていただきます。
どこに相談していいのかわからないといった方はまず当事務所までご相談ください。親切丁寧に司法書士が対応いたします。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。
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