こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
今回は、相続の場合における生命保険の利用についてご説明いたします。
最近は、生命保険は不要と考える方も増えてきましたが、私はこれからの相続対策を考えるうえで、生命保険は活用したほうが良いと考えています。
何故ならば、こと相続の観点から言えば、生命保険には、他の財産にはない特殊な性質があるため、円満な相続を実現させるための潤滑油として活きてきます。
生命保険金は「遺産」ではない
最も大きなメリットは「生命保険金は遺産分割協議の対象にならない」という点です。
これまでも当サイトで紹介して来たとおり、通常、不動産や預金、株式などの遺産は、遺言書があるか、遺産分割協議で相続人全員の同意がなければ、分け方を決めることはできません。
しかし、民法上、生命保険金は受取人固有の財産と位置付けられており、そもそも遺産ではない、という位置づけです。そのため、受取人として指定されていた人が、他の相続人の同意を必要とせず、保険金を受け取ることが可能なのです。
他の相続人に内緒にできる
また、生命保険の存在は他の相続人に開示する必要がない、という点も大きな特徴です。
相続人の中で1人だけが受取人になっているような場合だと、他の相続人から「生命保険の金額分は、相続する財産を減らすべきだ」と言われることがあります。
通常、預金や不動産などの遺産の場合、その存在を隠して遺産分割協議を行った場合には、その遺産分割協議は後からでも無効にすることができます。
しかし、生命保険金はそもそも遺産ではないため、その存在を黙っていたとしても、遺産分割協議が無効になる事はありません。
そのため、先ほどのように、他の相続人から生命保険金のことを言われるくらいであれば、初めから生命保険金の存在を他の相続人に伝えない、という選択もありかもしれません。
しかし、注意しなければならないのが、他の相続人に生命保険の存在を秘密にしようとしても、結局は分かってまうケースもあります。
例えば、故人の預金通帳の過去の履歴は、相続発生後であれば、他の相続人の同意を必要とせず、相続人が単独で取得することが可能です。その通帳の履歴に、生命保険会社の名前と、保険料の振込が残っていれば、故人が生命保険を契約していたことがわかります。
そして、その保険会社に、故人が加入していた生命保険の開示請求をすれば、どのような生命保険契約だったかまでも、他の相続人も知ることができるのです。
相続税申告時の注意点
前項で紹介した通り、遺産分割協議の対象にはなりませんが、相続税の申告が必要になる方も気を付けなければいけません。
相続税の申告書には、誰がどのくらいの生命保険金を受け取ったかを記載しなければいけない欄があります。
また、この状況で、相続税の申告書は、故人1人につき、相続人が連名で作成することが原則なので、生命保険金の内容は、すべての相続人に知れ渡ることになります。
遺言書の代わりとして生命保険を利用
「このお金は確実にあの子に残してあげたい」という気持ちがあれば、それを遺言書で実現させるのも良いですが、同じ目的のために、それを生命保険で実現させてあげることも可能です。。
また、遺言書の場合は、相続人全員がその内容を知ることになりますし、遺留分の問題も派生します。
一方で、生命保険であれば、その存在を他の相続人には知らせないという選択肢もあり、遺留分の問題も原則として発生しません。
相続時におかる生命保険のデメリット
相続の生命保険活用については、デメリットも存在します。
まず、「財産の流動性を失う」という点です。
保険料として支払った預金は、保険を解約するか、その方が亡くなってしまうまで使うことはできません。
ご存じの通り、保険を途中で解約すれば、支払った預金は、保険を解約するか、その方が亡くなってしまうまで使うことはできません。解約すれば、払った保険料よりも目減りしてしまう可能性まであります。
いざというときのために「契約者貸付」という制度がありますが(支払った保険料を限度に、保険会社からお金を借りることができる制度のこと。)当然、金利が発生するものなので、できれば利用は避けたいところです。
このように生命保険として払い込みをすると、いざ、そのお金を使いたいというときに、なかなか使うことができなくなってしまいます。
その為、基本的には、「このお金は死ぬまで使わないだろう」と思える金額の範囲内で生命保険の導入を検討するのが良いでしょう。
まとめ
当事務所では相続手続きのサポートを積極的に行っております。
今回は、相続の場合における生命保険の利用についてご説明いたしました。
また、相続開始の初期に弊所に手続きに関するのご相談を頂ければ、相続財産の手続きに先立ちまして、対応方法の全体像をお伝えすることが可能です。
他にも、相続した不動産の売却処分(換価分割)でもお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン 相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。