こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
さて、相続の争いを回避するためには、“遺言書を書いておくべき”と言われることが多いです。
実際に今は、終活ノートなどが販売していたり、遺言書に関するセミナーなども多いです。
しかし、せっかく遺言書を書いていたとしても、遺言書の形式自体が整っておらず、その遺言書自体が無効になってしまうケースも多く、さらには、せっかく書いた遺言書が火種となり、かえって遺族間で揉め事になってしまうケースもあります。
実際に、私が受けた相談でも、内容的に変な遺言であったり、形式的に無効なメモが原因で、相続人が混乱をきたしている状態で始まる相続処理はかなり多いです。
当然、遺言書を書くこと自体が目的になっては意味がありません。
親に「揉めない」ようにする為の遺言書を書いてもらうことが重要になってきます。
目次【本記事の内容】
1.遺言書のトラブル原因は2つ
遺言書が原因トラブルになるのは、大きく分けて2つパターンです。
1-1.形式面での無効
遺言書の書き方には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
(詳細は今後の記事で)
この点、形式面でトラブルが発生するのは圧倒的に前者の自筆証書遺言です。
なぜなら、公正証書遺言では公証人が作成するため、形式面に不備があることは、ほとんどあり得ないからです。。
形式上無効な遺言書は、何やら相続に関する内容こそ記載されているものの、法的にも無効であるため、法務局や金融機関での手続きに使用できません。
また、遺言書が無効である為に、法定相続分通りの遺産分けになるか、相続人同士で遺産分割協議を実施しなくてはなりません。
しかし、この際、当然のこととして、無効な遺言書上で有利な立場にあった相続人に対して、再び同じ相続分の確保が、必ずしも再現されるワケではないので、人によっては、無効な遺言書の内容に期待させられたことが原因で、揉めてしまうケースが見られます。
無料でかつ簡便に自作できてしまう自筆証書遺言だからこそ、形式の整っていない無効な遺言書が出てきてしまいます。
単純に、これら形式面での遺言書トラブルは、公正証書遺言を作成することに防ぐことができますので、これから遺言書を作成される方は、公証人の手数料をケチるようなことはせずに公正証書を選ぶようしていただいたほうが、いいかと思われます。
また、いま現在で自筆証書遺言を保管されている方は、今一度、その形式に不備が無いかをご確認いただきことをおすすめします。
もしも、不安を感じるのであれば、これを機に公正証書遺言へ書き換えを検討いただくのが良いでしょう。
1-2.内容的に問題を抱える遺言書トラブル
主な問題としては遺産の内容が不明確で、一部の財産しか書いてない場合などです。
特に曖昧な財産の書き方はトラブルのもとです。
しっかりとした明確な内容で、財産目録も同時に作成するのが望ましいでしょう。
この点、たとえ公証人に遺言書作成を依頼したとしても、その人の全部の財産がどうなっているどうかなどは、自ら正確に情報を開示しないことには、公証人にも分かり得ません。
その為、基本的に遺言者様の相続財産は全て載せるようにしましょう。
また、当然のこととして、生存中に財産が増えてしまうこともあります。
そのような状態も想定すると、例えば、「本遺言書に記載なき財産については長男○○へ相続させる」などといった内容の条項を書いておくのも効果的です。
また、財産の分け方に差が生じる場合には、それ相応の理由を付言事項(法律上の遺言内容とは別に個人的な思いを記載する事項)に書いておくこともお勧めいたします。
例えばですが下記のような内容が多いです。
- 「妻には介護で面倒をかけたから。」
- 「長男には事業資金を援助してあげたから。」
- 「長女には新築の頭金を払ってあげたから。」
…などです。
この点、その該当の人物に、遺産を多く相続させる理由や減らす理由を明確にしておくことが揉めないため遺言書としては重要です。
たとえ、遺留分を侵害する内容であったとしても、少なくとも納得するだけの理由が書いてあれば、争いに発展する可能性は大きく下げられます。
2.親に揉めない遺言書を書いてもらう方法
親に遺言書を書いてもらう上での一番のNGは、やはり、いきなり唐突に「遺言書を書いて!」などと伝えてしまうことです。
明らかに聞いた側からすれば問題があります。
まるで、「遺産が欲しいからその準備をしろ。」と、言っているように聞こえても仕方がありません。
もしも、このような導入で、「絶対にお前には遺言書は書かん!」などと考えを固められてしまって意味がありません。
この点、実は、子供の側から遺言書の重要性を教えてあげる必要は、敢えて存在しないと私は考えます。
実際のトコロ、誰しも遺言の必要性自体は、多くの方が理解されています。
特に、ご高齢になってくると自分の死後の不安や心配も考えるようになってくると同時に、近年では、商業的にも終活市場によるサービスや媒体が多く告知されてきていますので、直接的に親に訴えかけるより、これらの媒体を利用されるほうがいいでしょう。
具体的には、身近な人が亡くなった場合や、テレビで相続のことが特集されているタイミングなどを利用して、なるべく自然な形で少しずつ伝えていく方法が良いかと思います。
何より、遺言書を無理に書かせるのはよくありません。
最悪、万が一、相続人からの提案が、“脅迫や詐欺による誘導とも受け取られかねない形”で無理に遺言書を書かせたと認識されれば、欠格事由に該当し、相続人としての資格すら喪失してしまうリスクが発生してしまいます。(引用:相続人の欠格事由 民法第891条 第4項)※詳しくは⇒最悪な親族の行動、欠格事由!相続人になれない過ちNG5選
その為に、とにかく本人が遺言書を書くつもりになってくれることが何より重要です。
そのためにも、ストレートに切り出すことはやめ、徐々に本人の意思を動くのを待つのが一番です。
気持ちが固まってきた時に、具体的に遺言書の書き方など話を詰めていけばよく、その際に、第三者的な視点から、公正にアドバイスを下してくれる専門家に相談をしていただくのが、一番安心できる方法になります。
まとめ
遺言書を書いてもらう方法について説明しましたが、やはり何より本人の意思が最重要です。
当事務所では遺言書の作成依頼もお受けしてまして、司法書士が遺言者のご意思をしっかりと反映させる遺言書原案をご提案させていただきます。
なにより遺言者ご本人に納得していただき、一番善き形で安心していただける遺言書作成を心がけております。
遺言書作成を検討されているのであれば、まずは当事務所までご相談ください。
当事務所が最後まで責任を持って遺言書作成のお手伝いをさせていただきます。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。