こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
さて、ここでは空き家不動産についての情報についてまとめていきたいと思います。
少子高齢化と地方の過疎化に伴い、空き家は日本全国に増加し続けており、その存在の多さは今や社会問題として取り上げられる局面が増えてきました。
この実情には、上記の少子化や超高齢化社会だけでなく、社会全体の経済衰退、銀行融資の消極化など様々な要因が影響しています。
実際問題、大都市圏である東京23区内をはじめ、横浜・大阪・博多といった都市部では、今も土地の価格が高騰していますが、対する地方では土地の価格が下落し続けています。
恐らく、このような2極化は今後も進み、その差はひらき続けることは容易に予測できます。
これは、わが町の枚方やその周辺地域である、寝屋川市や交野市でも基本的には同じでしょう。(※駅前や高級住宅地、一部マンションは除く。)
都会の土地であれば、どんなに高くても買いたいと思う人がいますから、売ることは容易です。
しかし、その反面で、地方や田舎の不動産ではそもそも買い手が見つからず、『負動産』としてボロボロに老朽化した空き家をそのまま持ち続けなければいけない人が増加しているのです。
このような地方や田舎の土地を処分するにはどうすればいいのでしょうか?
【本記事の内容】
1.空き家不動産を放置するデメリット4つ
まず考えられるデメリットは、“固定資産税の発生”や“経年劣化による資産価値の下落”といったデメリットが考えられます。
しかし、それはあくまで自分たちの問題であって他人を巻き込むような問題ではありません。
空き家を所有している人たちだけが負えばいい問題です。
しかし、より大きな問題として考慮しなければならないのは、空き家として放置することで他人を巻き込んでしまう問題も出てきます。
結論から言って空き家不動産を放置するのはデメリットだらけです。正直、メリットなど一つも無いので、可能な限り早期対応を検討しなければいけません。
ここでは、空き家を放置することで生じる4つのデメリットを説明します。
①建物の老朽化と管理の大変さ
空き家不動産は築年数がかなり経過しているものが多いです。
人が住まないということは、風を全く通さない状態となりますので木材を腐らせてしまい、躯体部分にも大きなダメージを与えてしまうことになります。
実際に、それを防ごうと考えれば、誰かが数日おきに、物件に足を運び、窓を開けて風通しを行い、管理を行わなければなりません。
そうでなくては、誰も住まない建物の老朽化を加速させてしまうことになります。
建物が傷む前に、空き家不動産の処分を検討していただければ、賃貸に出してしまうことや、取壊しの手間を省いて建物ごとリフォーム会社に買い取ってもらえるなど、処分の選択肢が増えるのですが、実際にはこうした初動の対処に全く動けていないご家庭も非常に多いです。
②倒壊・失火責任・犯罪拠点への利用など
前項目のように、放置された空き家は建物の躯体部分までの損傷を発生させ、非常に脆い状態になっているケースが多いです。
そんな状態の中、地震や台風でのダメージが重なると、いずれ本格的に倒壊するリスクがあり非常に危険です。
また、電装設備の老朽化が予期せぬ火災を誘発するだけでなく、空き家の存在自体が、意図的な放火犯の標的になるケースがあります。
老朽化した木材は非常に燃えやすく、一度着火すると近隣の建物まで延焼させてしまう可能性が非常に高いです。
さらに、現在では空き家を“振込詐欺”や“違法ドラックおよび大麻製造”の犯罪拠点にされてしまうケースさえあります。
このように、空き家を放置するということは近隣を危険な状態にさらしていると自覚しなければいけません。
③害虫・動物の住処になってしまう
空き家で放置していると、庭木や雑草が伸び続け、虫や動物の住処にされてしまいます。
最近では、猫や犬だけでなく、ハクビシンやアライグマが空き家に住みついてしまうケースもあるようです。
また、上記のような比較的大きな動物の住処になるだけでなく、蜂の巣などが出来てしまう等、隣地の方にとって非常に危険が発生するケースもございます。
④近隣物件の資産価値にまで影響
自分の住んでいる家が空き家不動産だった場合を想像してみて下さい。
ぶっちゃけ言うと、近くに空き家があるだけでそのエリアの資産価値は下がります。
単純に景観が損なわれるという話なのですが、普通に考えていただければ、空き家が放置された地域を見たら、誰だって良い印象を持たないはずです。
空き家の放置は、その空き家部分だけでなく、周囲の物件への資産価値にまで悪影響を派生させていることも考えるべきです。
そこに住まない所有者の想像以上に、近隣住民へ大きな迷惑をかけています。
2.近年の大型台風と豪雨への懸念。
近年日本に訪れる大型台風や豪雨の恐ろしさは、流石に周知のとおりだと思います。
老朽化した空き家は、台風や暴風を受けるとひとたまりもなく、仮に躯体が問題無かったとしても、屋根瓦や外壁タイルの飛散被害が後を立ちません。
仮に故意ではなく、天災に依るものであったとしてもお隣の建物や車に損害を与えたり、通行人に怪我をさせてしまうと、その損害を賠償しなければいけないのは不動産所有者です。(参照:民法717条)
もしも空き家が残っていれば、常にこれらの天災に恐れなければならず、精神的にもストレスが溜まるでしょう。
建物の解体費用がかかるのは仕方のないことかもしれませんが、建物が古くて老朽化しているのなら、早急に取り壊しを検討されるべきだと思います。
※建物を壊すと固定資産税が値上がりするので、やはり売却の検討が一番かと思われます。更地にしてしまうと住宅用地の特例が使えなくなるので、翌年から固定資産税が6倍になる可能性が発生します。(参照:大阪市-住宅用地の課税標準の特例措置)
誰かに大きな怪我をさせた結果、多額の損害賠償を請求されてからでは遅いです。
3.不動産業者さんが協力してくれるうちに売るべき
空き家を手放すには結局のところ、売却の為に買主を発見するしかありません。
正式な売買手順を踏んだ上で登記手続きを経なければ、いつまでも相続人名義に不動産所有権が止まるからです。
ここで空き家不動産の所有者は、 売却に協力してくれる不動産会社さんの実情として、彼らの報酬形態を理解しておく必要があります。
彼らの収益になる部分は、不動産の売買成立を通じて仲介報酬を受領することができる完全成功報酬型の業務形態です。
つまり、売買が成立しない限り一切報酬を受け取ることができません。
この点、不動産会社の実情として、売買価格そのものが安くなりがちな築古の空き家や中古不動産の場合を考慮すると、不動産会社が受け取れる仲介手数料はごく僅かになってきます。
端的に言えば、500万円の空き家を売るよりも、3000万円の新築戸建てを売った方が仲介した報酬が高くなるからです。
※下記、取引価格に対する6%の部分が不動産会社の報酬になるため。
[500万円の古い空き家を売った場合]
500万円×3%+6万円=21万円が仲介手数料。
[3000万円の戸建てを売った場合]
3000万円×3%+6万円=96万円が仲介手数料。
結果、特に金額が低い物件だろうが、高い物件だろうが、仲介事務手続きそのものには大きな変わりはありませんので、どうしても利益の高い高額な不動産を取り扱った方が不動産業者にメリットが大きいです。
しかも、古い物件ほど買い手が見つかりにくい実情もあります。
不動産業者的には採算の合わない安い空き家売却は受けたくないのが本音です。
なので、空き家になっている相続不動産の売却を検討されて、先ず査定を出してみた結果ある程度の価格がつき、相談した不動産会社が、取引に向けて動いてくれるようなら、その時点から売却を先送りするのは得策ではありません。
変に“高売り”などを期待して問題を先送りにするよりも、そのまま対応に臨んでくれる不動産会社にお任せしたほうが良いです。
そのために、空き家の不動産対策は、相談した不動産会社さんが動いてくれる状況のうちに対処すべきと考えておくべきでしょう。
まとめ
ここまで解説をしたように、空き家は放置するだけで様々なデメリットが起きます。
単に固定資産税等の支払っていれば済む話では収まらず、近隣住民への配慮を考えると、放置しておくことができないのが実際です。
空き家不動産に関する社会問題は、今回の記事だけでは問題の全てを書ききることが出来ないので、次回の記事で、空き家の存在が「相続」と深く関わっている点について解説をしていきます。⇒相続放棄も難しい相続と空き家問題の関係について。
空き家と相続は切っても切り離すことができない関係にあるからです。
もしも相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン 相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。