こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。

もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。

さて今回は、もう既に、 相続が発生した時点で揉めてしまっている事案についてお話を送信させていただきます。

これまでの記事でも紹介したように、相続発生後は遺産について各種手続きを始めなくてはいけません。

主な方法としては、法定相続分に従って処理を進めていくか、相続人間で遺産分割協議を行い、その結果をもとに、各相続財産の名義変更を行っていく流れとなります。

相続財産が不動産なら法務局に対して名義変更(相続登記)申請が必要ですし、預金解約であれば金融機関に対して手続きを行うことになります。

そして、基礎控除額を超えるご家族であれば、税務署に対して相続税申告もしていただかなくてはなりません。

このように、揉めていなくても相続が開始すると様々な手続きを行わず大変なのですが、それだけに早急に遺産分割協議をまとめて進行させていかなくてはなりません。

しかし、そうは言っても、各ご家庭の事情によっては、その遺産分割協議の話し合いができずに、全く相続手続きを進められない事態も発生します。

ここでは何らかの理由で、遺産分けが揉めてしまい、法定相続人同士で遺産分割協議が出来ない場合の方針についてお話させていただきます。

1.家庭裁判所への調停・審判申立て

もちろん協議で話し合いができるなら親族間の心象の上でも一番良好な結果になります。

しかし、当事者間で遺産分割がまとまらないケースでは、家庭裁判所に遺産分割の調停や審判を求めることになります。

もちろん、遺産分割で揉めないのが一番なのですが、原因がなんであれ親揉めるときは揉めます。

利害や感情の側面から意見が衝突すると、親族全員が協力し合って相続手続きを進めることは不可能なので、第三者機関である家庭裁判所の場を借りて遺産分割の調停や審判してもらうことになります。

2.家庭裁判所を利用した遺産分割の解決方法

遺産分割の調停・審判の申立てはいずれも家庭裁判所に対して行います。

それぞれ申立てをする家庭裁判所については、調停は相手方(争いのある相続人)の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることになります。(当事者の合意で定めた家庭裁判所に申し立てることも出来ます。)

審判については相続が開始した地(被相続人の住所)を管轄する家庭裁判所に申し立てることになります。

原則的には紛争当事者である各相続人本人が家庭裁判所で行っていただくものなのですが、申立書の作成が煩雑で、調停・審判の場で何を話せばいいか分からないことが多いです。

本人申立が難しい場合、司法書士による書類作成部分を代行させていただくことや、 調停・審判の場での申述を含めた家庭裁判所手続き全体を弁護士に依頼されることで、現実的な解決に繋がります。

2-1.遺産分割の調停

まず調停とは、当事者(法定相続人)だけでなく 裁判官・調停委員 が協議に加わることによって行い、その補助の下、あくまで当事者同士がその協議の結果に合意し紛争を解決することでです。

この調停によって合意された内容は、確定した審判と同一の効力があります。

当然、審判と同一効力を有するので、各当事者はその合意の内容に従わなければなりません(執行には執行文の付与が必要)。

また調停は、上記のとおりあくまで協議なので法定相続分などにとらわれず、柔軟な対応ができます。

ただし、当事者が不参加など、あくまでも協議であるので合意に至らず不調に終わる結果もあります。

その場合、合意に達しなければ調停は何の効果も生みませんので、次工程の審判に移行することになります。

2-2.遺産分割の審判

審判は上記の調停と違い、比較的通常の訴訟に近いイメージです。

内容も合意ではなく最終的には決定(判決)で行われます。

また決定は即座に強制執行も可能で、そこも調停とは異なります(執行文の付与が不要。家事事件手続法75条)。

通常、当事者はいきなり審判を申し立てることは出来ず、まず調停から行います、いきなり審判を申し立てることも可能ですが、その場合は裁判所の職権で家事調停に付される場合が多いでしょう。(家事事件手続法257条)。

また先に申立てをした調停が不調に終わると、その次工程として、審判の申し立てがあったものとしてみなされます。

3.通常の相続手続きと調停・審判による相続手続きの違い

調停が合意できれば調停調書謄本が、 審判が確定すれば審判書の謄本がそれぞれ家庭裁判所から発行されることになります。

審判書謄本、調停調書謄本を入手した場合、例えば銀行預金等に関して相続分通りに審判、調停が決まった場合は、相続人は自分の相続分に関してのみの相続分の預金を受け取ることが可能です。

【※審判書謄本または調停調書の他にも、自分の戸籍謄本及び印鑑証明書、預金通帳、届出印を用意する必要があります、この点、各金融機関によっては細部の規定に違いがあるので事前確認をお勧めします。)

通常の相続手続きであれば、自分の分の書類だけでなく、相続人全員の戸籍謄本に加え被相続人の除籍謄本(法定相続情報一覧図でも可能)、遺産分割協議書(実印) 相続人全員の印鑑証明書、さらに相続全員の代表者であるなら他の法定相続人からの委任状も必要となります。

そのため審判や調停を経た場合は、若干、必要書類の内容が減ることになります。【※もっとも 審判や調停で相当の時間と手間をかけているので、総合的には労力がかかっています。 】

なお、 審判書謄本または調停調書が発行されている時点で、家庭裁判所で被相続人の死亡は確認されていることになりますので、被相続人の戸籍謄本(除籍謄本)は必要なくなります。

また不動産の相続登記においても、審判書謄本や調停調書謄本に被相続人の死亡日や住所が記載されていると、被相続人の住民票除票や除籍謄本の添付が不要となります。

また同時に、遺産分割の審判で単独で不動産を相続する旨が決まった相続人は、その審判書謄本を添付して、自分一人の名義で相続登記をすることができます。

4.実務上の遺産分割調停・審判

預金口座の相続手続きや、不動産の相続登記は相続人の生活や、相続税のこともあり相続開始後、迅速に行いたいものです。

しかし、相続人の間で遺産分割の協議が決まらない時や最初から相続人の1人が相続手続きに協力してくれない場合は、遺産分割の調停、審判に頼るしかありません。そうしないと相続の手続きは一向に進みません。

実際問題上、調停や審判になるという事は、すでに相続人の間でお互いに不信感があり紛争状態が激化している状態であるということです。

その為、当事務所としても相談対応や登記実務について、ご相談者様から紛争状態に関して、お相手の法定相続人様のご様子や、意見相違の要点を確認させて頂いた結果、早期に提携先の弁護士へのご相談を提案させていただくことが多いです。

もしも、 再度の相続人同士での話し合いが可能であれば、 調停や審判等の手続きで余計な時間とお金がかかる事態は回避できるのですが、殆どの場合、一度揉めてしまった相続が穏当に仕切り直される機会はかなり乏しいのが現実です。

当事務所の相談対応でも、「兄弟(姉妹)の○○が話し合いに応じてくれない、電話やメールにも返事を返さない…。」といった内容のお話を受けることがありますが、最早話し合いに応じてくれない以上はどうすることもできません。

そして、この場合に『家裁への調停を申し立ては如何でしょう?』と尋ねると、概ね『そこまではちょっと…、』といった感じの返事が返ってきます。

しかしながら、その結果、相続が長期化して全く解決に至らない原因になることが非常に多いです。

当然、親族ともなればなかなか裁判沙汰にしたくはない気持ちはとてもよくわかります。

しかし、それは同時に自分たちの問題を、次の世代の子供たちに押し付ける結果に繋がっていきます。

どんなに話しかけても遺産分割に応じてくれない。無視される。財産情報を教えてくれない、といった親族間の悩みをいつまでも持ち続けるのであれば、どこかで踏ん切りをつけて家庭裁判所の関与のもの、解決に向けて進み出してもいいのではないでしょうか。

早期に弁護士の介入を実現した場合であれば、相手方の法定相続人も、再度、協議の段階で話会いに応じてくれる可能性も出てきます。

また、より深刻なケースとして、紛争が発生してしまった状況の上に、さらに二次相続や当事者の認知症の問題が重なってきてしまうと、争点の整理すらつかなくなり、次世代の相続人に対して、問題がさらに拡大してしまう恐れがあるので、この点でも紛争が発生した時点での初動の対応が重要になってきます。

まとめ

今回の記事は、紛争発生が確認できた時点で、司法書士単独では解決しきれない状態の問題について取り上げた内容になりました。

当事務所では、今の相続の状態では誰に相談したらいいのか分からないといった状態の方も来られるので、お話を伺った結果、早期に提携先の弁護士を紹介して事案の解決を託すことも多いです。

また、予算と時間の関係で、調停・審判をご本人提起の内容で実施される方もいらっしゃいます。

そして相続で揉めてしまっても問題が小さいうちに相談に踏み切っていただければ、調停・審判を代理してもらえる弁護士との連携のもと、当事者同士の権利関係に整理を付けた上で、相続登記などの具体的な相続手続きへ進める事が出来ることも可能です。

そして同時に、 揉めてしまった相続問題についても、 紛争が発生してしまった状況の上に、さらに二次相続や認知症の問題が重なってきて、問題がさらに大きくなる前に、解決していくという姿勢が大切になってきます。

当事務所に来ていただければ、お話をじっくり聞いて、専門家との連携により全ての手続きを一括サポートさせていただきます。

紛争を解決した後で、相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン 相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。

なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。

枚方市・交野市・寝屋川市の皆さんへ、相続・遺言・遺産分割のまとめ情報

CONTACT

お問い合わせ

初回のご相談は無料です。まずはお気軽にご相談ください。
事前のご予約いただければ夜間・土日の無料相談も承っております。