こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
さて、今回は、相続した車の名義変更と、廃車までの手続きについて説明いたします。
車の名義変更の場合
車の所有者が亡くなったときは、所有者の変更を行う必要があります。「価値がないからそのまま放置」はNGです。
その後、自動車保険に加入できない可能性が生じるほか、売却や廃車をする際に、必ず名義変更が必要になるためです。
ちなみに、所有者は、自動車検査証(いわゆる車検証)の「所有者の氏名または名称」欄で確認をすることが可能です。
名義変更の期限
車両の相続手続をしなかった結果、罰則が科せられていることは一般的にはありませんが、道路運送車両法には、次のような規定がありますので、速やかに、名義変更の手続きをしましょう。
“新規登録を受けた自動車について所有者の変更があったときは、新所有者は、その事由があった日から15日以内に、国土交通省大臣の行う移転登録の申請をしなければならない。”
名義変更に必要なもの
- 自動車検査証
- 戸籍謄本一式(死亡の事実および相続人全員が確認できるもの)
- 車庫証明書(車庫の住所を担当する警察署で入手します。発行に2,000円前後の手数料が生じます。発行までに長ければ1週間ほど時間がかかりますので、前もって申請をしましょう。また、証明後、40日以内のものが必要です。なお、故人と新所有者となる相続人が同居していた場合には、不要になる場合があります)
- 新所有者となる相続人の実印(本人が手続にいけない場合には、実印を押印した委任状が必要です)
〈遺言書・遺産分割協議書がある場合〉
- 遺言書
- 検認済証明書(※自筆証書遺言の場合)
- 遺産分割協議書(※遺産分割協議を実施した場合。)
- 新所有者となる相続人の印鑑証明書(発行から3カ月以内のもの)
なお、車の価格が100万円以下である場合には、遺産分割協議書に代えて、遺産分割協議成立申立書を提出することができます。
遺産分割協議成立申立書は、遺産分割協議書よりも簡単な様式ですが、車の価格が100万円以下であることが確認できる査定証などの資料の添付が必要になります。
この遺産分割協議成立申立書は運輸局のホームページから入手できます。
【遺産分割協議成立申立書のダウンロード】
http://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000109121.pdf
名義変更を行う場所
名義変更は、車のナンバープレートを管轄する運輸支局で手続ができます。各地域
にある運輸支局の場所や受付時間などの詳細は、国土交通省の公式サイトでチェックしましょう。
廃車の場合
「亡くなった父が所有していた車はもう古いし、母は免許を持っていないので、乗る人がいません」
これもよくあることです。名残惜しいかもしれませんが、故人が所有していた車を廃車(解体)するときの手続を解説します。
まず、自動車自体を処分し、登録そのものを完全に抹消することを「永久抹消登録」といいます。
永久抹消登録も、ナンバープレートを管轄する運輸局で手続を行います。必要になるものは下記の通りです。
- 自動車検査証
- ナンバープレート(前後2枚必要です)
- 戸籍謄本(死亡の事実と申請人が相続人であることを確認できるもの)
- 申請人の印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)
- 申請人の実印
- 解体に係る「移動報告番号」および「解体報告記録がなされた日」
廃車にする場合の流れは、「解体→永久抹消登録の手続」です。
解体のために、引き取り業者等へ車を持ち込み、解体してもらった際に、ナンバープレートの受け取りと解体に係る「移動報告番号」、「解体報告記録がなされた日」の確認を忘れずに行いましょう。
ちなみに、永久抹消登録をする場合には、遺産分割協議書は不要です。法定相続のうち、1人が代表となって手続を行うことができます。
また、車検残存期間が1か月以上ある場合には、自動車重量税の還付を受けることができます。申請の際に、申請をする方の預金口座の内容がわかるものをご持参ください。
軽自動車の相続手続き
故人が軽自動車を所有していた場合には、手続を行う場所が異なり、軽自動車検査協会で行います。また、遺産分割協議書などを添付する必要はなく、簡易的に名義変更を行うことが可能です。
注意:車のローンがある場合
故人が車をローンで購入し、返済が完了していない場合には、車検証に記載されている所有者は「ローン会社」もしくは「ディーラー」になっており、故人は「使用者」として記載されていることがあります。
このようなときはローン会社に連絡をして、故人が死亡していたことを伝えましょう。車の借金についても、相続財産には違いありませんので、相続人が引き継いで返済をする必要があります。
車にかかる相続税
故人が持っていた車も遺産の1つとして相続税の対象になります。
車の評価額は、原則、売買実例価額です。
売買実例価額とは、亡くなった日に中古車として売却したと仮定したときの金額です。ネット上で、「一般的な買取相場を調べる」「業者に見積価額を算出してもらう」などの方法により算出します。もしも、この売買実例価額がわからない場合には、減価償却費などを考慮して計算をします。
一般的な車の耐用年数は6年と定められているので、購入から6年経過しているものは、一部の高級車を除き、非常に低い相続税評価額となります。
まとめ
今回は、相続した車の名義変更と、廃車までの手続について、まとめてみました。
今回の記事を参考にしていただいて、ご自身で車の名義変更と、廃車に取り掛かる方もいらっしゃるかもしれません。
ただし、お時間等が無く、自分で手続きを実施することが難しい場合は、お近くの中古車販売店やディーラーに、直接相談いただいた方が早いと言えるでしょう。
市場価格を算定のも、実際、車屋さんに聞くしか評価のしようがありませんし、日常的な自動車整備業務等の中で、行政庁とやり取りをする行政書士さんを、既に繋がりがある場合が多いからです。
相続した不動産の売却処分(換価分割)でお困りなら当事務所まで是非ご相談ください。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。