こんにちは!枚方の司法書士、尾花健介です。

相続手続きは、その多くが、預金など金融機関の相続手続きと不動産の相続手続きに分かれます。

相続手続き後、金融機関の預貯金でしたら、相続人が複数いてもお金ですので相続分通りの分割は容易です。

しかし、不動産の場合の場合であれば少し話が違ってきます。

“持ち分”という形で相続人間で共有は可能ですが、誰がその不動産を使用するのか? 固定資産税は誰が払うのか? 管理は誰が行うか? など、先に決めておかなければならない事が他の相続財産よりかなり多いです。

 例えば、ご相談を頂いたお客様が、相続不動産については漠然とした事しか決まっていない場合には、当事務所から不動産を相続人で共有した場合のメリット・デメリットを説明します。

そして、相続人全員の方が相続不動産を売却したいというご希望がある場合も多いです。

今回はどのような場合に相続不動産を売却した方が良いかお話し出来ればと思います。

目次【本記事の内容】

1.相続人や親族が誰も住まない相続不動産の場合

一番多く考えられるのが、誰も住まない相続不動産がある場合です。

このように、不動産に誰かが住んでいなくても、固定資産税や管理責任は発生します。

もしも、相続した不動産の扱いに計画が無い場合であれば、経済的なメリットが乏しい為、売却を検討したほうがいいかもしれません。

しかし、心情的に『自分の生まれ育った故郷の家なので、そのままにして置いておきたい。』というお話も理解できます。

その場合であっても、老朽化による近隣への事故等が発生しないよう、管理する必要がありますので、相続人の中から、誰が固定資産税や管理責任を負うのかは、決めておく必要があります。

また、今後、2023年に施行される、不動産の相続登記義務化という流れを踏まえても、相続人名義への登記申請を進めておく必要があります。

逆に、相続人の内のどなたかが住む場合であれば、すぐに売却という話にはなりません。管理費や固定資産税も住んでいる相続人が支払えば済むという話になってきます。

しかし、この場合であっても、相続名義をご親族で共有にするのは避けたほうが賢明です。

後々に、新たな相続が発生した場合に、相続人の共有権利がさらに、細分化されてしまい、次世代の相続手続きがさらに煩雑化してしまうからです。

いずれにしても、売却しない場合であっても、不動産の登記名義は、相続人の内の個人の方の名義にしておき、他の相続人の方には、代価を支払う形にするのが望ましいでしょう。

2.公平な遺産分割をしたい場合(換価処分のご提案)

不動産は、相続財産の中でも、比較的に金銭として評価しずらく、その価値を正確に把握するのが難しい財産になっています。

遺産分割協議を進める前提としても、不動産の場合は、その時と場合によって、相場が変化するので、そのままの姿で相続をすすめるとなると、どうしても不公平感が残ってしまいます。

また、とりあえず共有で相続してしまわれる場合もあるのですが、そうなると、後々に、相続人の中の誰かが、売却を希望する状況が発生しても、他の共有者の方が反対をして、手続きが進まないといった、新たな問題が発生する恐れがあります。

そうした将来的な不安を回避するためであれば、不動産を相続が発生した段階で、売却し、その価値を金銭に変換することが可能であれば、遺産分割もより正確に行うことが出来、不公平感も残さず完了することが出来ます。(※事務上、このような遺産分割の方法を“換価処分”と申します。)

また、このように、不動産を売却して、遺産分割を進める場合には、不動産の売却自体に、相応の時間が掛りますので、売却代金の分割まで、時間を要することになります。

ご相談を頂くタイミングで、手続きのスケジュール調整についても、お話させていただくことになります。

3.相続不動産の売却についての注意点

相続不動産の売却をご希望される場合には、いくつか、注意しておきたい点がございます。

①不動産はすぐには売ることが出来ない。

そもそも、商品として、不動産は高額な物品に入ります。その分、手続きにも費用が掛かり、買手の捜索に時間が掛るケースが大半になってきます。

②そもそも売れない物件である場合もある。

不動産物件の内容によっては、買手を探した結果、誰も見つからないとう事態も想定できます。また、立地や建造物に関する規制などによって、売却すること自体が出来ない不動産も存在します。

③不動産売却の利益に対して、税金が課されます。

不動産を売却した利益に対して、譲渡所得税なる税金が発生する場合があります。

事例によっては、特別な控除が適用されるケース【参照:国税庁⇒被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例 ※適用には令和5年12月31日までの期限があります。】もあるのですが、その適用の為には、売却後に確定申告をしていただかなくてはならなりません。

税金面の対策としても、長期のスケジュール感を持っていただく必要があります。

④相続人全員からの協力が必用になってくる。

法律的には、不動産が共有になっても、そのうちの個人の持ち分のみを処分することは可能ですが、現実問題、一個の不動産を新しい買手に移す売買契約となれば、売り手となる共有者全員が、売却の為の売買契約の売主として契約する必要があります。

また、売買契約を簡易にするために、売却前に、一旦、相続登記を済ませて、相続人の中の誰か一人を以って、登記の名義人にしておくことも可能ですが、その場合であっても、他の相続人は相続登記を済ませるまでの遺産分割に協力する必要があります。

このように、不動産の売却にはメリット・デメリットの両面があります。

どのような場合に、売却すべきか?

当ページをご覧になられている、ご当事者様の状況に即して、細やかなご提案が出来ればと思います。

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