こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
もちろん枚方だけでなく、寝屋川市、香里園、樟葉、守口市、門真市、四条畷市、東大阪市など、枚方を中心とした関西全域に対応している司法書士として活動しております。
さて、現在お住まいのご自宅が、銀行等の住宅ローンによるお借入で建てられたものである場合、恐らくお借入先の金融機関の名義による抵当権が設定されているはずです。
この抵当権に関する、住宅ローンの返済が完了しますと、金融機関から、“抵当権抹消に関するお知らせ”等の、ローン返済に関する書類一式が送られてきて来ます。
この抵当権抹消登記、期限があるわけではないのですが、それ自体は、いつか必ず行わなくてはいけません。
しかし、行わなかったからといって罰則があるわけでもないので、放置してしまっている方も多いです。
また、どのように手続きを進めればいいのかわからないまま、そのまま忘れてしまっている人もいるでしょう。
そこで、抵当権抹消登記に関してどのように手続きを行えばいいのかについて、この記事では解説をしていきます。
抵当権抹消登記を行わなかった場合のデメリットや必要な費用についても詳しく解説をしているので、これから抵当権抹消登記を行う方は、ぜひ参考にしてください。
抵当権とは何か?
まず、抵当権とは何の事でしょうか?
お金を借りる際に、不動産を担保として設定する権利の事です。
お借入金の返済が難しくなった場合に、抵当権が設定されている土地を用いて債権者へと債務が弁済されることになります。
また、相続財産の中の不動産に抵当権がついていた場合、残っている借金の返済義務についても相続する事になります。
この返済義務は、相続人全員にあるため、抵当権のついた不動産を相続した相続人に返済能力が無い場合は、他の相続人にも返済義務が回ってきます。
しかし、お借入金の返済が完了した後であれば、法務局へ抵当権抹消登記を申請することで抵当権を消すことができ、その後に土地の売却をすることも可能になります。
抵当権抹消登記とは?
端的に言えば、 抵当権抹消登記とは、この抵当権を登記簿上から抹消するために必要な登記申請行為のことです。
では、どのようなタイミングで必要になるのか?
基本的にには、抵当権の対象となっている、ローンン等の返済が終わったタイミングで、冒頭のように金融機関から書類が送られてきたタイミングで行うことが多いです。
また、抵当権がついている状態の不動産を売却するときも、必ず抵当権抹消登記を行う必要があります。
売却の時点で、まだローン残債そのものが残っている物件であるときは、より厳密な注意が必要です。
不動産売却を行って得たお金で、即時にローンの返済を行い、抵当権抹消ができるように準備をしておかなくてはなりません。
こちらの場合は、通常の返済後に金融機関から書類が送られてくる形にはならないので、売却計画に合わせた事前の書類準備が必要になります。
この状況で自分自身で、抵当権抹消をしようとしても、失敗した場合は、買主に損害賠償を支払わなくてはならなくなるケースがあるので、何か血迷ったとしても、自分自身でやるのは止めましょう。
必ず司法書士に依頼してください。(※自分で抵当権を抹消するのを、不動産会社の方も止めると思います。)
抵当権抹消に必要な書類
上記のように、売買契約に先立つ、失敗できない抵当権抹消とは違い、特段、喫緊の課題として、抵当権抹消を行うのであれば、ご自身でも銀行から送られてきた書類を利用して、抵当権抹消を申請することも可能です。
ここでは、一般的な抵当権抹消登記手続きについての、必要な書類、物品を紹介しておきます。
各個別の細かい部分については、お近くの司法書士に相談いただくのが良いと思いますが、ご参考にはしていただけると思います。
金融機関(銀行・保証会社)から受け取る書類
- 登記原因証明情報…金融機関から送られてきます。弁済証書、解除証書、または放棄証書などを指します。
- 登記識別情報または登記済証…抵当権設定の当時に法務局から発行された書類です。
- 委任状…金融機関が抵当権抹消手続きを委任するための書類になります。
- 登記事項証明書…抵当権抹消に関わる金融機関の登記事項証明書(発行から3ヶ月以内のもの)※現在は、会社法人等番号を申請書に記載する方法で登記申請対応可能である為、金融機関の方で用意されないことが多いです。
自身で準備する書類
- 登記申請書…法務局のホームページからダウンロード可能 (※記載内容、具体的な書き方は、申請人、金融機関との返済内容によって異なります。)
- 認印…申請書、または司法書士に依頼する場合に委任状に押印します。
- 本人確認書類…司法書士に依頼して、抵当権抹消する場合は面談時に必要になります。 (※ご相談先の司法書士事務所に確認いただくことをお勧めします。)
抵当権抹消登記の手続きは、これらの書類を揃えて管轄の法務局に提出することで行います。各
申請後に発見された不備は、補正の為の対処が必要なので、できるだけ速やかに手続きを行いたい場合は、書類の有効期限(※金融機関の代表者の任期等)や記載漏れに注意いただくことをお勧めしまう。
取り込んでみて、手続きに時間がかかる場合であれば、専門家である司法書士に依頼することをご検討いただくとよいでしょう。
抵当権抹消登記をしないデメリット
抵当権抹消登記を手間に感じる人も多いでしょう。
特に、日中お仕事に出ておられる方は、有給でも取得しない限り、法務局で登記申請を実施することが出来ません。
行わなくてもよいのであれば、別に放っておいても問題ないとすら思えます。
しかし、抵当権抹消登記を行わないとデメリットが発生してしまうのです。
必要書類の紛失リスク
冒頭で説明した通り、基本的には、抵当権抹消登記の必要書類は、住宅ローン完済時に金融機関から送られてきますが…、
これを長期間手続きを行わずに書類を放置していた結果、申請しようと思い立った時点でいつの間にか紛失していたという方も非常に多いです。
無くしてしまっても、金融機関に再発行を依頼すればいいと考えるかもしれませんが、この書類は長期間経過後の再発行が難しいのです。
特に、当事務所でも、経験則上、多くのお客様の対応をさせていただくなか、金融機関から書類が送られてきて、長期間放置していた結果、銀行、金融機関が提示してくれた、抵当権抹消の登記済証書(登記識別情報通知)を紛失してしまったとお困りのケースは非常に多いです。
金融機関自身で発行してもらえる、解除証書や放棄証書等と違い、登記済証書(登記識別情報通知)は再発行されないので、通常の抵当権抹消登記申請とは、少し違う工程が必要になってくるため、こうなった場合は、司法書士に相談いただくことをお勧めします。
また、金融機関の代表者は、一定期間を過ぎると、退任して、抵当権抹消登記を申請するタイミングに於いて、それぞれ会社の代表取締役ではなくなっているケースもあるので、金融機関から委任状を発行してもらってから、相当期間が過ぎてしまっている場合、既に法人の代表取締役が変更されてしまっている場合も、司法書士に相談いただくことをお勧めします。
金融機関側の登記識別情報通知(登記済証権利証)は、無くしてしまった後の再発行が一切できません。
そのため、なるべく早く抵当権抹消登記は行っておかなくてはいけません。
売却・融資・相続の際に手間取ってしまう
上記の説明のとおり、抵当権が設定されたままの不動産は、通常、売却することができません。
買主が旧所有者の借金のリスクを背負わなければならなくなるので、そんなリスクある不動産には誰も買いたがらなくなるからです。
早めに抵当権抹消登記をしておかないと、売却や融資、相続の際に手間取ってしまいます。
抵当権設定がなされたままの不動産を、不動産会社に売却の相談として持ち込んでも、この点は必ず指摘を受けます。
そこで、もしも抵当権抹消に関する書類が紛失している場合や、まだ借金が残っていることが分かった場合は、まず一般の方では対処しようがなくなります。
そして、売却当日に、抵当権が抹消できずに、決済ができない。
最悪、売買契約書の約款通りに、買主に所有者が移転した時点で、抵当権が残ってしまうような状況になると…、
違約で損害賠償が請求される事態にもなってしまいます。
まとめ
以上、抵当権抹消登記についての概要、放置しがちな状況と、そのリスクについてまとめました。
もしも、ご自身で法務局に提出されたい場合であれば、基本的に使用する書類は、借金の返済後の金融機関から発行されますので、住宅ローンの返済が完了した際には、お早めに抵当権抹消登記の申請をしていただくことが良いでしょう。
この場合、抵当権を抹消する不動産の個数ごとに、1000円の登録免許税が発生しますので、事前にご自身の物件内容を、よく確認をする必要があります。
登記申請は法務局にて、平日にしか受け付けておりませんので、お忙しい方は、当事務所にお気軽にご連絡いただくことをお勧めいたします。
また、相続した財産に抵当権が残っていた場合でお困りのときも、当事務所まで是非ご相談ください。⇒不動産相続 相続登記お任せプラン
相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。
なお、相続や遺言のことをもっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。