こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
さて、これまでのお知らせで、被相続人の財産を相続人が相続すると、各財産の相続手続きをする必要があることを説明させていただきました。
例えば、預貯金であれば銀行等で被相続人口座の解約又は名義変更を、不動産であれば相続登記を、株式なら証券会社での移管手続きを、自動車であれば管轄する運輸局で名義変更をする必要があります。
そして、これらの相続手続きをする場合に、当事者は自身が被相続人の相続人であることを各相続の窓口に証明しなければなりません。
この証明に使う書類として、戸籍謄本、改正原戸籍、除籍謄本の取得が必要になります。
また、親子間の相続であれば、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等と相続人の現在の戸籍謄本が必用になり、さらに兄弟間の相続では、被相続人だけでなくの親の出生から死亡までの戸籍謄本等も必要になります。
当然、これらの戸籍謄本等を全て集めるとその量は相当な量になることでしょう。
それらを各相続手続き先に、その都度持参するのはとても大変です。そのため、それらの代わりに被相続人と相続人関係を証明する書類の制度が、新しく平成29年にできました。
今回は、この法定相続情報証明制度について簡単に解説していきたいと思います。
目次【本記事の内容】
1.何処で法定相続情報証明制度を利用できるのか?
この制度を利用したい場合は、法務局にて手続きをすることができます。
しかし、日本のどこの法務局でも手続きができるわけではなく、下記の4種類の法務局のどれかで手続きをすることが出来ます。
≪法定相続情報一覧図発行の手続き先≫
①被相続人の本籍地
②被相続人の最後の住所地
③申出人(申請人)の住所地
④被相続人名義の不動産の所在地
※①については、被相続人の亡くなった時点の本籍地を意味します。この情報は戸籍謄本又は、除籍謄本等で調べることが出来ます。(もし被相続人が数十年前に亡くなっている場合は改正原戸籍も調べます。)
※②については、被相続人の住民票の除票に記載されている住所のことです。
※③は申出人である当事者の住所地。
※④は被相続人名義の不動産の所在地です。もしも被相続人が複数の不動産を所有していたら、いずれの所在地でも申請可能です。
上記の情報と照らし合わせて、どこの法務局がその地を管轄しているか申請前の確認が必要です。(参照先:法務局 管轄のご案内)
2.法務局にて法定相続情報一覧図を作成してもらう。
法定相続情報証明制度を利用する場合、法務局にて法定相続情報一覧図を作成してもらうことになります。
そして、この法定相続情報一覧図を入手して、銀行や法務局等の相続手続きが必要な機関に戸籍謄本等の代わりに提出することで、相続手続きを進めていきます。
この、法定相続情報一覧図の作成には、申請者自身が、一度、戸籍等を収集し、相続関係の一覧図も申請者自ら作成して提出する必要があるのですが、ここで完成された法定相続情報一覧図があれば、各相続手続き先で、毎回、相続人であることを証明する、膨大な親族全員の戸籍を出す必要がなくなります。
簡単に言うと、法務局で戸籍謄本等を確認し、被相続人の相続関係を証明してくれる制度といえます。
上記のとおり、法務局に法定相続情報一覧図を発行してもらう際には、申請人自ら、法務局に被相続人の相続人であることを証明しなくてはなりません。
その際に、戸籍謄本等の提出が必要になります。次回の記事(法定相続情報一覧図の入手方法について。)ではより詳しく、【法定相続情報一覧図発行のための必要書類】と【法定相続情報一覧図発行のための手数料と発行までの期間】についてご説明いたします。