こんにちは!枚方の司法書士 尾花健介です。
親族間で不動産の相続が発生した場合やこれから自宅の売買を考えてる方などは、登記に関わる不動産の状態を知りたいため、自分で登記事項証明書を手に入れたい時があると思います。
また、新築等で自宅を購入された方で、ここ1年以内に“住まいの給付金”の申請考えてる方であれば、必要書類の一部として、同じく建物の登記事項証明書が欲しいというケースもあるかと思います。
多くの人にとって司法書士や不動産関係の仕事の方でなければ、日常生活で使う書類でもないと思うので、ここでは登記事項証明書が何であるところから説明します。
目次【本記事の内容】
1.登記事項証明書とは?
もともと各法務局の台帳簿(紙のバインダーで閉じられていた。)で管理されていた不動産の登記情報のコトを登記簿謄本と呼ばれていました。
たまに仕事で昔の登記情報を見ることがあるんですが、コレが何故か縦書きで見にくいコトこの上ありません。
で、2008年にこれらの不動産情報がコンピューター情報化されて、この電子情報化された不動産の登記情報をプリントアウトして交付されるものが、現在の登記事項証明書と呼ばれるものです。
因みに、オンライン化もされていなかった当時の登記簿謄本は、その各地域の不動産の管轄でしか取得できませんでした。
普通に考えて、むちゃくちゃ面倒くさいですよね。
現在はオンライン化により、全国の各不動産の登記事項証明書をどの法務局でも取得できるようになっています。
例えば、北海道の札幌管轄の不動産の登記事項証明書を沖縄の法務局で取得することも可能です。
1-1.不動産の登記事項証明書の種類
この登記事項証明書ですが、取得する情報の記載内容によって4つの種類に分かれてきます。
例えば 一筆の土地を複数の持主で共有している場合、その土地の○○さん名義の部分のみの証明書だけが必要なのに、「履歴事項証明書」を請求すると「共有者全員分の記録を記載した証明書」が交付され全部で何十枚もの履歴事項証明書が出てくることもあります。
敷地権が付いていない集合住宅用の土地で、しかもそれぞれの持分所有者に担保権とかが付いているともうホント枚数がヤバいです。
で、この場合だったら、その土地の○○さんの名義部分だけで「履歴事項一部証明書」の請求をすれば、必要な持主の範囲で情報が記載された証明書を取得することができます。
❐全部事項証明書
一番オーソドックスな登記簿謄本です。
名前のとおり、登記記録に記録されている全部の事項が記載されていて、既に抹消されて効力が無くなった抵当権や、過去の所有者が誰であったかなどの登記情報も載っています。
❐現在事項証明書
記録されている事項のうち現に効力を有するもの登記記録だけが記載されている。
上記の全部事項証明書と比べて、今現在の時点で誰が所有所有者か分かればいいだけの時や、抵当権や根抵当権などの担保権も、現在残っているものだけが知りたい時などに使う。
❐一部事項証明書(何区何番事項証明書)
権利部(甲区と乙区)の相当区に記録されている事項のうち請求に係る部分。
ちなみにざっくり言うと、甲区は誰が持主であったかなどの所有者の情報が載っている区分のコトです。
乙区は、抵当権や根抵当権などの担保権や賃借権、地上権などを始めとして、所有者の不動産に対して他の関係者がどのような権利を保持しているかを記録したものです。
上記の例のように、大規模なマンションの敷地の権利者の情報だけが欲しいときに使います。
❐閉鎖事項証明書
過去に壊された建物や、造成された結果として他の土地に合併されてしまった土地など、すでにデータ上、閉鎖された登記記録が載っています。
更地にして、新しい土地の買主さんに引き渡すトキなどに必要な情報になってきます。
2.登記事項証明書を取得するには?
法務局の窓口でもオンライン上でも請求可能です。
オンラインで請求したとしても窓口か郵送で受け取り方法を選ぶことが出来ます。(郵送のときは到着まで1日から2日ほどかかります。)
また、後述しますが、情報内容を閲覧してプリントアウトしたいだけなら「登記情報提供サービス」ですべてネットで完結できます。
オンラインで請求するほうが取得の費用は安くなっています。
- 1.オンライン請求で窓口受取の場合⇒480円/1通
- 2.オンライン請求で送付受取の場合⇒500円/1通
(※オンライン手続きできる法務局の「かんたん証明書請求」《ログインIDおよびパスワードの作成が必要》を使います。手数料の納付方法はネットバンキング、又はPay-easyのマークが付いているATMで送金できます。ただし全ての金融機関対応ではないのでご注意を!)
3. 法務局窓口の請求でその場で受取の場合⇒600円/1通
(※窓口に備え付けてある、登記事項証明書交付申請用紙に内容を記入して収入印紙を貼りつけます。)
ただし、注意するべきことがあって、取得の目的となる不動産の所在及び地番、あるいは建物の場合であれば家屋番号を入力または記入する必要があります。
恐らくこの地番または家屋番号と呼ばれるものが分からない、住所表記とは違う地域もあることなどは多々あるかと思われます。
そのようなときであれば先に法務局へ地番照会してから謄本請求する必要があります。
この際は管轄地の法務局へ電話で「住所から地番を教えてください。」問い合わせを入れれば教えてくれます。
とは言え法務局も多忙であるので、電話での照会はカナリ待つことが多いです。
もし、ご自宅の地番や家屋番号であれば固定資産税などの納税通知書を保管されていれば、それらの番号が記載されているので、そちらを見るほうが早いかもしれません。
もっと手軽に登記情報が知りたいときには登記情報提供サービス
もしも登記事項証明書の内容だけを見たいだけであれば「登記情報提供サービス」の方をお勧めします。
(※ログインIDおよびパスワードの作成が必要です、また、こちらの取得も地番や家屋番号が必要です。)
対象の不動産の所有者のみが記載された「所有者事項」、登記記録全てが記載された「全部事項」、「地図」をPDFでダウンロード可能でプリントアウトもできます。
取得する登記情報の内容によって金額が違います。
- 所有者事項のみなら手数料は1通当たり142円/1通
- 全部事項と地図の手数料であれば1通332円/1通
これらの支払いはクレジットカードを使います。
正式に登記情報として証明する効力はないので、住宅ローン控除などの確定申告や住まいの給付金申請などの際に公的な証明書としては使えなませんが、登記内容を知りたいだけなら、手数料の決済後にすぐに閲覧できるので便利です。(ただし、何故かネットなのに利用時間は平日8:30~21:00のみ!!)
次回は、住宅の登記簿の見方をより詳しく解説しました。⇒住宅の登記事項照明書(登記簿謄本)を閲覧。読み方は?
また、ときどき、不動産の売買立会のときに、今回説明した、登記簿謄本と不動産の権利証を間違えて、しまわれるケースもあるので、別のページにて、不動産の権利証についても、解説しています。⇒登記識別情報と登記済証の違い、不動産の権利証ってどの書類?
まとめ
今回は登記事項証明書(登記簿騰)の基本的な事柄と、取得の方法について紹介させていただきました。
また、 登記事項証明書で情報を集めるにあたって、不動産の権利関係や、売買・相続の問題について、どこに相談していいのかわからないといった方は、まず当事務所までご相談ください。
親切丁寧に司法書士が対応いたします。
また、その他相続の開始から売却までのご相談にも対応いたしております。
なお、その他の登記についての情報、相続や遺言のことなどについて、もっと詳しく知りたいという方は、下記の“総まとめページ”の用意もありますので、是非ご参考になさって下さい。